宇宙論から読み解く般若心経②

宇宙

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現代宇宙論が示す宇宙の成り立ち

宇宙は約138億年の遠い昔、かぎりなく熱く、まばゆいひとつぶの光として生まれました。
 
それから急速な膨張を経て、爆発的に広がりながら徐々に温度を下げていきます。
 
やがて光のしずくは、宇宙の霧となり、最初の銀河が生まれ、そこから星が誕生します。
 
星は光り輝きながら、生涯の過程の中で命の種である元素を合成していき、その生涯の最後に超新星爆発を引き起こします。
 
超新星爆発により宇宙空間にばら撒かれた星のカケラたちは、遥かなる宇宙の旅を経て太陽系を形づくり、地球が生まれ、私達を含むすべてが誕生しました。
これが最新の宇宙研究で検証可能な宇宙の成り立ちです。
この研究結果が示すことは、

この宇宙に存在するすべてのものは根源的に同一である

という、まぎれもない事実です。

般若心経の世界観

この宇宙では独立に存在しているものはありえず、すべてが相互的に循環して存在しているということになります。
 
私達は自分が独立して自分を生きているように感じていますが、私達の細胞は一晩で数千億個は入れ替わると言われています。
 
物質としての私達は日々刻々と変化し、違うものに入れ替わられているのです。
 
それでは何故、私は私として存在できているのでしょうか?
 
じつは『私』という存在は『私以外』のもので形づくられています。
 
たとえば『水(H₂O)』であれば、水素(H)と酸素(O)の結びつきで『水』として存在できるように、
 

『私』も『私以外』のものとの結びつきにより存在しています。

 
この事実を般若心経では以下のように説かれています。

色性是空 空性是色

物質的存在(色)は現象としてとらえられるものではあるが、現象は常に変化するものであり、変化しない実体というものはない(空)。
 
変化しているからこそ現象(色)として現れ、それを私達は存在(色)としてとらえる。
 

つまり、色は空であるゆえに、色は色でありうる

色不異空 空不異色

実体がない(空)といっても、物理現象(色)と異なるものではなく、物理現象(色)は実体がない(空)ことに異なるものではない。
もう少し詳しく説明すると
実体がない世界を実感できる前提として、まず現象に目を向け、それがあらゆるものとの関係性において動いている『縁起』であることに目を向ける必要がある。
 
『私』という現象を動かないものと過程したうえで
 
それらが『私以外』のもので構成されつつ、『私』ではないものになりつつあることを理解すること。
 
すべてのものは自己に対立し自己を否定するもの(武学的にいえば相対性)によって限定される関係にあって、その否定によって自己が肯定(確立)される。

色は空と異なるものではなく、空は色と異なるものではない

色即是空 空即是色

これまでの内容が体験的に把握されることによって、色と空の同一性が確立する。

つまり、色は空であり、空は色である

宇宙論と般若心経の到達点

仏陀の考え方は、かなり分析的で理論的です。
 
しかもその特徴は、AはBであり、BはAである、というような思考を積み重ねることで
 
最終的に『ある』と『ない』という相反する概念さえも超えてしまおうという勢いのある考え方です。
 
最初にたとえに出した『水』には、個体、液体、気体などの異なった状態があります。
 
さらに水を分子にまで細かくすると水素原子と酸素原子の化合物になります。
 
それらの原子はもっと小さい、陽子、中性子、電子という素粒子からできていて
 
超弦理論によれば、それらは宇宙全体に広がって揺れ動いている『波』のようなものだと考えられています。
 
ということは、今、私たちを含め目の前にある物質『色』は、絶対的で永遠に変わらない独立した実体ではなく『空』だということになります。
現代宇宙論では、宇宙に存在するすべての素粒子の数は10⁸⁰個ほどあるといわれ、この宇宙の中で起きるすべてのものや出来事は、これらの粒子の離合集散ということになります。
また、宇宙は『無』から生まれたとされていますが、この『無』とされる真空空間では真空の相転移により、たえず『有』と『無』のゆらぎが起きていたようです。
 
 
量子論の観点でみれば
この『有と無』=『1と0』=『色と空』は別々のものではなく、同時に存在することになります。
ですから、般若心経の『空』の思想は、現代の最先端科学と不思議なほど相性が良いのです。
 
宗教と科学の到達点が近づいているというのは、やはり人類の叡智の最終到達点は同じ場所に存在しているということかもしれませんね。
 
このことは、武学のおいてもまた然りですね。
 
この般若心経の教えや宇宙論を、単なる知識ではなく体感できることに武学の本質的価値があると思います。
般若心経の教えを事実として認識し、体感することで、私達がどう生きるべきなのかの答えがより明確に見えてくるかもしれませんね!
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